懐かしいですね。
ということで今日はワザップの嘘技に騙されたキッズがジョルノ・ジョバーナみたいになってしまった件の法律構成を考えてみたいと思います。
まず、ジョルノの発言を理解しやすい様に読み替えます。
原文がこちら、
あなたを詐欺罪と器物損壊罪で訴えます!理由はもちろんお分かりですね?あなたが皆をこんなウラ技で騙し、セーブデータを破壊したからです!覚悟の準備をしておいて下さい。ちかいうちに訴えます。裁判も起こします。裁判所にも問答無用できてもらいます。慰謝料の準備もしておいて下さい!貴方は犯罪者です!刑務所にぶち込まれる楽しみにしておいて下さい!いいですね!
ここから余計な文言を省略すると、
あなたが皆をウラ技で騙し、セーブデータを破壊したことについて、詐欺罪と器物損壊罪で告訴します。
という内容になります。
だいぶスッキリしましたね。
それではジョルノくんがいうように、裏技の投稿者(以下投稿者)が詐欺罪、および器物損壊罪の罪責を負うのか、検討します。
①詐欺罪
詐欺罪は刑法246条に規定されています。
この条文にある、「人を欺いて財物を交付させ」という部分を犯罪の構成要件といいます。
行為がこの構成要件に該当していなければ、そもそも犯罪になりません。
条文のままだと、流石に漠然としすぎているため、詐欺罪の構成要件を更に詳しく解釈していきます。
すると、
①財物の占有を移転するために、人を騙すこと
②被害者が実際に騙されること
③騙されたことによって被害者が財物の占有を移転させたこと
という風になります。
それでは投稿者の投稿した文と詐欺罪の構成要件を対照してみましょう。
投稿文がこちらになります。
こちらを読んだ上で、各要件と比較してみると
①財物の占有を移転するために、人を騙す
→財物を占有を移転する目的はない
(セーブデータを壊したいだけ)
②被害者が実際に騙されている
→騙されてはいる
③騙されたことによって被害者が財物の占有を移転させた
→ジョルノのセーブデータが消滅しただけ
(かわいそう)
以上のことから、投稿者が詐欺罪の構成要件に該当する行為を行ったとは到底いえないため、投稿者に詐欺罪は成立しないです。
では次に器物損壊罪について検討していきます。
②器物損壊罪
器物損壊罪は刑法261条に規定されています。
器物損壊罪の構成要件は、「他人の物を損壊し、又は傷害」することです。
物なのに傷害?と思う方もいるかもしれませんが、それは動物が法律上物とみなされているからです。
器物損壊罪の構成要件も「他人の物を損壊」というだけで、かなり漠然としています。
この点、器物損壊罪が物に対する所有権を始めとする、人が物に対して有する全ての権利を保護することを目的としていることを鑑みるに、「損壊」とは広く物の効用を害する行為を示すものと解釈するのが妥当です。
よって、人のセーブデータを削除することは、保存されていたセーブデータによるゲームプログラムの進行を妨げ、ゲームで遊戯するという効用を害する行為として器物損壊罪の構成要件に該当する行為であるといえます。
つまり、、、
ジョルノの勝ち。
あなたは器物損壊罪です。
といいたいところですが。
残念。
本件で実際にセーブデータを破壊したのはだれかというと、
ジョルノです。
投稿者はあくまで裏技の投稿をしただけです。
色違いボルケニオンが欲しいあまり、情報の真偽の確認を怠ったままセーブデータを削除したのは、
ジョルノです。
ということで、投稿者が器物損壊罪の罪責を負うことはありません。
以上の詐欺罪、器物損壊の検討から、投稿者が刑事上の責任を負うことはないということがわかります。
みなさんも色違いボルケニオンが欲しくなった時は気をつけてくださいね。
おしまい